虫歯の予防について その8 Blog
今回はフッ素のお話をします。
細かい話ですが、虫歯予防のために使うのはフッ素ではなくフッ化物で、フッ素の化合物です。
フッ化物を歯につけることは虫歯の予防にはとても重要です。
実際、アメリカでは1993年に米国医療予防研究班によって、市民へのフッ化物応用が質の高いエビデンスレベルで強く推奨
されています。具体的には歯磨き粉でのフッ化物塗布だったり、水道水へ少量のフッ化物を入れたりという内容です。
次に考える必要があるのは、フッ化物での虫歯予防効果があるメリットに対して、デメリットがあるかどうかです。
昔井戸水を汲み取っていた時代に、その井戸水のフッ化物の濃度がかなり高い地域がありました。その地域では
歯のフッ素症(歯が極端に白く濁ったりぼつぼつと穴があく、茶褐色になる)の患者さんが散見されたようです。
一方でフッ化物の濃度が高いため、やはり虫歯の罹患率も低かったようです。
そこで、歯のフッ素症のデメリットを回避でき、虫歯の予防にも効果があるフッ化物の濃度を研究し、水道水に入れたり、
歯磨剤のフッ化物の濃度も色々研究されていったりしている訳です。
現在ではさらに統計が進んでいるため、歯科メーカーもそのエビデンスにのっとり、フッ化物の濃度を調整しています。
下の表は2024年1月に4学会(日本小児歯科学会、日本保存歯科学会、日本口腔衛生学会、日本老年歯科医学会)
が合同で提唱している歯磨剤の使用方法です。少し簡略化しています。参考にしてみてください。